2009年8月16日日曜日

LORELEI ON THE ROCKS / LORI MORITZ



LORELEI ON THE ROCKS / LORI MORITZ

TRI-ADっていうオレゴン州のスタジオで
77年(?)ごろ録音され、
同名のレーベルからリリースされたこのアルバム、
LORI MORITZというピアノを弾きながら歌う
女性・SSW的なレコード。
ブルージーでサックスも入って
少しジャズ的な要素も感じさせる。
一曲目のイントロから何かを
感じさせてくれる気がしました。。

最初に聴いたときはその1曲目の印象が強すぎて
他の曲に目がいかなかったけれど
よくよく聴きなおしてみると
全体的にすばらしいアルバムだって気付いたので
ちょっと内容について書いてみようと思います。

アルバムはピアノ系・SSWにカテゴライズされそうな
ピアノ・弾き語りの曲が中心となってます。
全体的にはブルージーでロッキンな曲が多い。
だけどそのロックといっても、
バーのピアノでロックした感じのクールなそれで
ほんとはロックというよりもジャズの影響が濃い気がする。
それと少し趣が変わって
スピリチュアルな雰囲気が出ている曲も多い。
タイトルやジャケットも名前をもじっているとはいえ
プログレみたいな印象を与えているように思う。
B-4・"ALL I FIND"では実際にメロトロンまで鳴ってて
RENAISSANCEのような曲だったりもするので
そういう嗜好も一つの側面としてあったのかもしれない。

楽曲はカバー・4曲をのぞいてオリジナル曲となってます。
またそのカバー・4曲の選曲が渋くていい。

A-2・"BARRELHOUSE"
原題・"MAMA JUST WANTS TO
BARRELHOUSE ALL NIGHT LONG"
カナダを代表するアコースティック・SSWの一人・
BRUCE COCKBURNの77年のアルバム・
"CIRCLES IN THE STREAM"に収録。
オリジナルは未聴。LORIのカバーはバー・バンド的に
ブルージーで雰囲気があります。

A-4・"I AM THE MERCURY"
JIMMY SPHEERISの72年のアルバム・
"ISLE OF VIEW"に収録。
JIMMY SPHEERISはアシッドな雰囲気も
持ったアコースティック・SSWで
ジャケットもプログレのような
スピリチュアル色を出したものが多く
どれも繊細なタッチの楽曲が収録されていて
とても好きなSSWです。
また明るくAORタッチになった76年のアルバムも
方向性は変わりますがいいアルバムです。
LORIのカバーも呪術的な雰囲気と
ポジティブな力強さがあって
完成度の高い一曲になってます。

A-5・"JELLY JELLY"
オリジナルはAL GORGONI, CHIP TAYLORとの
GORGONI, MARTIN & TAYLORとしての活動や
ソングライターとしても活躍した
TRADE MARTINによる作。
ALLMAN BROTHERS BANDの
"BROTHERS AND SISTERS"で
有名な曲というかそれがオリジナルになるのかも。

B-3・"NEW COAT OF PAINT"
TOM WAITSの74年・2ND・アルバム、
"HEART OF SATURDAY NIGHT"に収録。
アルバム冒頭を飾る一曲で
彼の代表曲とも言える一曲でしょうか。
LORIのカバーも一聴してTOMのカバーと
気付かせてくれそうなほどTOMの影響は濃いようです。
この曲に通じる"バーでピアノ弾いて歌ってます"的な感じは
アルバム全体に通じている気がします。

自作曲はブルージーな曲が多いですが
その中でも特にA-1・"MUSIC BRINGS ME CLOSER"と
B-3・"MICHAEL'S SUNRISE"の出来がすばらしい。
この2曲はブルージーな要素は少し薄まって
叙情的でまた力強さのあるというか、
ポジティブなメッセージが伝わってくるようなヴォーカルと
おしつけがましくないけど馴染みやすいメロディがあって
よくできた曲だと思いました。
ちょっと違うけどもCAROLE KINGなどに通じる部分もあるかもしれない。

アルバムの最後・B-5には"ZHANDELLA"と題された
リリカルなピアノとバイオリン、ヴィオラ(?)、チェロ(?)、
(少しですが)リコーダーによる叙情的なインスト曲で
タイトルの意味はよくわかりませんが
ちょっとプログレっぽくもあり
アルバムに奥行きがついたかのようで
意外とアルバムの締めくくりとして落ち着きます。

ちなみにジャケ写はGENE MORITZとなっており
旦那か兄弟か知りませんが
とにかく手作り感のあるアルバムのようですね。

個人的にはやはり
"MUSIC BRINGS ME CLOSER"がよくて
ひさしぶりに(マイ・テープのような)コンピCDをつくったのも
この曲を多くのヒトに聴いてもらいたいと思ったからです。
音楽賛歌にも聞こえるこの曲は
中古レコード店・経営者をとても励ましてくれたのでした。。。